体の機能が低下し、動きたくても動けなくなってしまう病気を「生活不活発病」と言います。世界保健機関(WHO)も増加を危惧している病の1つです。生活不活発病には様々な原因があります。1つの原因で発症するというよりも、複数の要素が重なり合って発症するという感じです。
多くの人に共通する原因が、屋外の環境の変化です。猛暑や厳しい寒さなどから外出が困難になり、生活範囲が屋内だけになってしまうことがあります。そういった生活が続くと歩く量が減り、全身の筋肉や心肺機能が低下してしまうのです。そして過ごしやすい季節になりいざ外へ出かけようとすると、夏や冬の間に弱ってしまった体が言うことを聞かず、結局1年中家にいることになってしまい生活不活発病と診断されてしまう、といった具合です。また外に出かけないことで人との会話の機会も減り、精神衛生に異常をきたしてしまうことも生活不活発病の原因になりえます。
精神的な虚無感も原因になります。仕事をリタイヤしたあとや、配偶者と死別してしまった後に生活に張り合いが無くなると虚無状態に陥ってしまうことがあります。その状態が続くと、その間に体が虚弱化していき、気が付いたころにはまともに歩くこともままならなくなっているというパターンも少なくありません。
生活不活発病の原因は日常のいたるところに潜んでいます。高齢者本人はもちろんのこと、同居人や介護者などが病気について認識し、日々の予防と対策を行っていくべきでしょう。